マクロビオティック(略称・マクロビ)(略称・マクロビ)の考え方において重要なものに、「陰陽調和(いんようちょうわ)」というものがあります。陰性のものと陽性のものをバランス良くとることが大切、という意味です。
しかし、陰性と陽性とは一体何のことなのかさっぱりですよね。そこで、マクロビにおける陰陽調和とはどういうものなのか、詳しい内容を掘り下げていきます。さらに、実は食べ物にも陰性のものと陽性のものがあるので、その特徴や例をお伝えします。
マクロビオティックの「陰陽調和」を詳しく解説!
ここから早速、マクロビオティックの「陰陽調和」という考え方について詳しくお届けしていきます。
東洋医学などにも用いられる伝統的な考え方
そもそも陰陽とは、「物事には何事も陰性と陽性の相反する関係が存在する」という考え方です。英語では「Yin&Yang(陰と陽)」と表現され、東洋医学などでも使われる古くからある思想です。
陰と陽の関係とは、たとえば男と女、光と影、昼と夜などです。片方が存在するからもう片方も存在しており、互いに均衡を保っているので、どちらか一方だけでは成立しません。
陰陽五行とは?
陰陽五行(いんようごぎょう)とは、陰陽説と五行説という2つの考え方を合体させたもので、古代の中国で発展した思想です。五行とは「全てのものは『木火金土水』の5つの元素によって成り立っている」という考え方。陰陽説と合わさったことにより、地球上の森羅万象がこの陰陽五行の思想で説明できるとされました。
陽性とは|求心性・動的・熱
マクロビオティックにおいて、陽性は「内側に向かっていく求心的なエネルギー」と定義づけられています。マクロビオティックの提唱者である桜沢如一の思想です。
内側に蓄えられたエネルギーは熱を持ちます。たとえて言うなら、体をギュッと丸めると熱が体の中心に集まり、ぽかぽかと温まるというイメージです。
陰性とは|遠心性・静的・冷
陰性とは陽性と相対する存在です。つまり、「外側に広がっていく遠心的なエネルギー」を指します。
体を広げる(力をゆるめる)と、体内にこもっていた熱が逃げて涼しく感じるように、蓄えられたエネルギーが解放されて冷えていくイメージです。
陰陽調和=バランスをとることを大切にする
陰と陽の違いがわかったところで、いよいよ本題の「陰陽調和」についてお話しします。といっても、陰陽調和とは文字通り、陰と陽の調和が取れた状態を指します。
マクロビオティック食において、食材も陰性と陽性に分けられます。また、同じ食材を使用する場合でも、調理法や味付けを工夫すれば反対の性質に近づけることができます。マクロビの世界では、この陰性と陽性のバランスを取り、「中庸(ちゅうよう)」という”均衡を保った状態”が良しとされています。
なぜかというと、陰性や陽性どちらか片一方に偏った状態は、ナチュラルではない、もしくは健康的ではないからです。寒い冬があれば暑い夏がある、昼が終われば夜になる、というように、陰と陽のバランスが保たれていることが大切なのです。
食べ物にもある陰陽とは?
実は、食べ物も陰性と陽性に分けることができます。どんな食材が陰性で、どんな食材が陽性なのでしょうか。
食べ物の陰陽表】※目安
陽性の食べ物とは?
陽性の食べ物の特徴には、以下のような点があります。
- 動物性
- 寒い季節や地域で育つ
- 背が低い/下に向かって伸びる植物
- 水分が少ない
- 苦い/塩辛い
- サイズが小さい
- ナトリウムが多い
表に載っていない食材も、こちらを基準に陽性かどうかの目安を知ることができるでしょう。
陽性の食べ物にはどんなものがあるの?
陰陽表にもありますが、陽性の食べ物の例を挙げてみると、
- うなぎ
- にんじん
- ひらめ
- カレイ
- タイ
- 梅干し
などがあります。
避けた方が良い陽性の食べ物とは
陽性の食べ物のうち、マクロビオティックで避けたほうが良いのは
- 鶏肉・豚肉・牛肉
- ハム・ベーコン
- 卵
- 精製塩
- まぐろ
などです。陽性が強すぎるものは陰陽調和が取りにくいので、なるべく控えることがおすすめです。
陰性の食べ物とは?
陰性の食べ物の特徴には、以下のような点があります。
- 植物性
- 暑い季節や地域で育つ
- 背が高い/上に向かって伸びる植物
- 水分が多い
- 甘い/すっぱい/からい
- サイズが大きい
- カリウムが多い
陰性の食べ物にはどんなものがあるの?
陰性の食べ物は
- さといも
- さつまいも
- トマト
- なす
- たけのこ
- ぶどう
- ナッツ
- 大豆製品
- 黒砂糖
- はちみつ
などがあります。
避けた方が良い陰性の食べ物とは
陰性の食べ物にも避けたほうが良いものがあります。たとえば
- 白砂糖
- 砂糖菓子や菓子パン
- アイスクリーム
- 化学調味料
などです。
マクロビオティックでは特に、白砂糖は避けるよう言われています。白砂糖は陰性が非常に強い「極陰性」で、陰陽調和の取りにくい食材とされているためです。精製された砂糖は栄養素もなく、血糖値も上下しやすいので、マクロビの思想の「健康的に長生きする」という目的を阻害すると考えられています。
調理する際に甘みが必要な場合は、白砂糖の代わりに黒砂糖やはちみつ、天然甘味料を使用しましょう。
調理法や味付けにも陰陽がある!
調理の仕方や味付けにも陰性と陽性があります。表で見てみましょう。
陰性 | 陽性 | |
---|---|---|
調理方法 | ・火をあまり使わない ・水や油を多くする ・圧力をかけない ・時間をかけない ・土鍋や木製の調理器具を使う ・野菜を小さく切る | ・火を多く使う ・水や油をなるべく控える ・圧力をかける ・時間をかける ・金属製の調理器具を使う ・野菜を大きめに切る |
味付け | ・酢や甘味料、香辛料など陰性の調味料を多く使う | ・味噌や塩、醤油など陽性の調味料を多く使う |
このように、調理や調味によって陰性と陽性のバランスを取ることも可能です。陰性の食材が多いときは陽性に近づける調理を、陽性の食材が多いときは陰性に近づける調理をすることをおすすめします。
陰陽調和の考え方を理解して食べ物を選んでみよう!
マクロビオティックの世界の陰陽調和について、知識や理解が深まったことでしょう。食材には陰性と陽性があり、調理の仕方も同様に陰陽で分けることができます。
食事の際には今一度、材料や調理方法を見直し、陰性と陽性の一方に偏っていないかをチェックする習慣をつけると良いのではないでしょうか。普段からバランスを意識しながら中庸の食事をしていれば、時に陰性や陽性のどちらか一方に大きく傾いたとしても、すぐに回復できるでしょう。
できることから少しずつ陰陽調和を実践するというやり方でもOK。「今日はナス(陰性食材)がたくさんあるから味噌田楽(陽性調理)にしよう」とか「生の自然薯(陽性食材)にオリーブオイルと酢(陰性食材)をかけて食べよう(陰性調理)」という小さな一歩が大切です。