ベジタリアンといえば、お肉を食べない人たちのことです。最近ではヴィーガン(ビーガンとも読む)という言葉が有名になってきましたが、ヴィーガンとベジタリアンの違いについて、詳しく説明することができますか?
また、ベジタリアンの種類についても詳しく解説。ベジタリアンやヴィーガンに興味がある方は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
ヴィーガンとベジタリアンの違いとは
ヴィーガンとベジタリアンの違いを理解するために、それぞれについて詳しく解説していきます。
ベジタリアンは菜食ライフスタイルの総称
野菜、果物、豆類など、植物性の食べ物を主に食べる食習慣や、菜食主義者のことをベジタリアンといいます。
ベジタリアンの語源は、英語のvegetable(野菜)だと思っている人も多いでしょう。しかし、実はラテン語の「vegetus」が語源なのです。vegetusという言葉には、健全な、生命力のある、新鮮な、といった意味があります。
しかし、なぜベジタリアンの食習慣を実践している人がいるのでしょうか?ベジタリアンになる理由の一つは宗教です。キリスト教やヒンドゥー教などの一部の宗派の影響を受けて、ベジタリアンになる人がいます。
環境保全や動物愛護の精神から、ベジタリアンとして生き方を選択する人がいます。健康目的で菜食を実践する人や、肉や牛乳などの乳製品が体に合わない人も存在しており、ベジタリアンになる理由もさまざまです。
ヴィーガンは完全菜食主義|ベジタリアンの一種
かつてヨーロッパやアメリカで、卵や乳を摂取するベジタリアンが、多く存在していました。そのため現在でも、卵や牛乳を摂取するベジタリアンもいます。
一方でヴィーガンは、完全菜食主義のこと。肉や魚はもちろんですが、卵や乳製品、またハチミツさえも口にしません。ピュアベジタリアンとも呼ばれています。
ヴィーガンの人たちはパスタ、パン、お米などを摂取します。しかし、乳や卵が使用されている添加物が含まれているものは、食べません。また、大豆でできた食品やオートミールなど、植物性たんぱく質が含まれる食品を食べることで、たんぱく質を摂取しています。
牛乳やバターが使われたデザートは食べませんが、豆乳や植物油など、植物性のデザートは食べてもOKです。例えば豆乳ヨーグルト、ライスプディング、和菓子など。しかし、白砂糖は摂取しません。なぜなら、白砂糖を精製する過程で、動物の骨が使われるからです。
ヴィーガンの中には食生活だけでなく、革製品などの動物製品や、動物性由来のものが使われている衣服や日用品を、避ける人たちもいます。
ベジタリアンの種類を解説
ベジタリアンにはさまざまな種類があります。ここではヴィーガンを含めた、ベジタリアンの種類について解説いたします。
ベジタリアンの種類は、以下のとおりです。
- ダイエタリー・ヴィーガン
- エシカル・ヴィーガン
- フルータリアン
- ロー・ヴィーガン
- ホールフード・ベジタリアン
- ラクト・ベジタリアン
- ラクト・オボ・ベジタリアン
- オリエンタルベジタリアン
ではそれぞれについて、詳しく説明していきます。
ダイエタリー・ヴィーガン|食事のみで実践
ダイエタリーとは英語で、「食事の」という意味。したがって、ダイエタリー・ヴィーガンとはその名のとおり、ヴィーガンを食事のみで実践するライフスタイルのことです。
ヴィーガンには食事以外でも、動物製品や動物由来成分を含む製品を使わない人たちが存在する、ということを先ほどお伝えしました。しかし、ダイエタリー・ヴィーガンの人たちは、食事以外の動物製品に対しては寛容で、必ずしも避けるわけではありません。
エシカル・ヴィーガン|動物性食品や由来のもの・動物製品を避ける
エシカル・ヴィーガンとは、動物性食品や動物製品を使わない人たちのことです。エシカル・ヴィーガンという生き方の根底には、動物たちを苦しめたくないという強い思いがあります。したがって、ウール、革製品、シルクといった動物製品を身につけません。
洗顔料、ボディーソープなどに関しても、卵や牛乳などが含まれていないものを使います。化粧品ももちろん、動物由来の原材料が使われていないものを使用します。
ヨーロッパやアメリカなどの海外では、ヴィーガンコスメを購入することが可能です。ヴィーガンコスメとは、ハチミツなどが含まれておらず、動物実験なしで作られている化粧品のこと。日本でもネットなどで購入することができます。
フルータリアン|果実・種子・ナッツのみOK
フルータリアンもまた、動物性食品や動物由来のものが使われている製品を避けます。
フルータリアンはさらに、葉野菜や根菜などの野菜すら口にしない食事法です。可能な限り、命を奪う行為を避けたいという思想があるからです。果実食主義者とも呼ばれ、果実・種子・ナッツなどを中心とした食生活を送ります。
すべての食事をいきなり果実やナッツに置き換えるなど、安易にフルータリアンを実践するのは、危険だといわれています。健康目的で、一食だけ果実やナッツに置き換えるなど、部分的に取り入れている人が多いです。
ロー・ヴィーガン|46度以下での調理が条件
ロー・ヴィーガンはリビング・フード・ヴィーガンとも呼ばれ、完全菜食主義です。
ロー(raw)は英語で「生」という意味。ロー・ヴィーガンの人たちは、食材に含まれる酵素を摂取することが、体に良いと考えています。したがって、基本的には加熱されていない、生野菜や果物などのロー・フードを食べます。
また、46度以下で調理されたものもOK。46度以下の加熱なら、野菜に含まれる酵素などの栄養素を、破壊せず摂取することができます。
ホールフード・ベジタリアン|精製されたものを避ける
ホールフード・ベジタリアンもまた完全菜食主義です。グルテン・フリー・ヴィーガンとも呼ばれています。
ホールフード(whole food)とは、直訳すると「まるごとの食べ物」という意味。野菜を食べるときは、野菜の皮、葉、根っこを全部まるごと食べるということ。
ホールフード・ベジタリアンは精製されていない、栄養価の高い植物性の食べ物を食べます。例えば、精製された小麦粉などは避けて、全粒粉などを選びます。
ラクト・ベジタリアン(乳菜食)|植物性食品と乳・乳製品はOK
ラクト・ベジタリアンのラクト(lacto)は「乳」という意味のラテン語です。
ラクト・ベジタリアンは、野菜や果物など植物性食品と牛乳やチーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品を食べる人たちのこと。ハチミツも摂取してOKですが、卵は食べません。
ラクト・オボ・ベジタリアン (乳卵菜食)|植物性食品と乳・卵はOK
ラクト・オボ・ベジタリアンは、肉や魚は食べませんが、植物性の食品、牛乳、チーズなどの乳製品、そして卵を食べる人たちのことです。ヨーロッパやアメリカのベジタリアンの大半が、ラクト・オポ・ベジタリアンだといわれています。
野菜や果物などの植物製品だけでなく、牛乳や卵まで摂取することができるため、栄養バランスが取りやすいです。したがって、エシカル・ヴィーガンやフルータリアンとは異なり、取り入れやすいでしょう。
オリエンタル・ベジタリアン|ねぎやにらなどを避ける
オリエンタル・ベジタリアンは、動物性食品だけでなく、ねぎ、ニラ、ニンニク、玉ねぎなどの五葷(ごくん)も摂取しません。
オリエンタル・ベジタリアンは、仏教など宗教上の理由によるベジタリアンです。仏教では宗派によって、五葷は修行の妨げになると考えられており、食べるのを禁止しています。
台湾の精進料理は、オリエンタル・ベジタリアン食だといわれています。
ベジタリアンはお肉を避けるだけじゃない
ベジタリアンは肉を食べない、菜食ライフスタイルのこと。動物を思う気持ちが強い人や、地球環境を守りたい人たちなどが選ぶ食習慣です。肉や魚は避けるが、卵や牛乳は摂取するベジタリアンもいます。
しかし、動物たちから何も搾取せず生きるべきだ、という信念にもとづいて、卵、乳、乳製品を摂取しない、ヴィーガンの生き方を貫く人もいます。食事だけでなく、動物由来成分が含まれた日用品さえも、避ける人たちが存在するのです。
また、ラクト・オボ・ベジタリアンやダイエタリー・ヴィーガンなど、ライフスタイルや信念などに合わせて、いろいろな種類のベジタリアンがあります。
この記事を読んで、ベジタリアンやヴィーガンに興味を持たれた方は、一食のみなど、少しずつ取り入れると良いでしょう。体質によっては、ベジタリアンの食生活が合わない人もいますので、気をつけてくださいね。