花粉やホコリ、食べ物などから身体を守るために抗体反応が起きてしまう「アトピー性皮膚炎」、小さなお子様に起こりやすいこの症状を改善するためにマクロビオティック(略称:マクロビ)を取り入れるという手段が最近話題となっています。
そのマクロビの考えに基づいた食事法をご紹介致します。
マクロビオティックの食事方法とは?
「マクロビオティック」とは、マクロ(大きい/長い)・ビオ(生物学を用いた)・ティック(術)という3つの単語を繋げ、「長生きするために生物学を用いた方法」という言葉の意味を取り入れた食事法です。
俗に言うマクロビとは、このマクロビオティックのことで、主に「食事」に重点を置いた健康法と言えるでしょう。
お肉をあまり使用しないレシピが多いこのマクロビ、最近ではイギリスから生まれたヴィーガンと間違えられることが多くあります。
ヴィーガンは、動物愛護のために動物由来食品を口にしないことを主に活動する思想、それに対してマクロビは健康のために極力お肉を使わないという考えのもとにできたものなので、目的や特徴が少々異なります。
マクロビについておさらいしたところで、ではこのマクロビの考えからなる食事法とは、一体どんなものなのかという点をそれぞれ詳しく説明して参りましょう。
マクロビは健康で長く生きるための食生活の知恵
マクロビの食事は、主に無農薬で自然農法な穀物、そして野菜を中心の食事となるため、肉や魚類は比較的取らないのが基本です。
ご飯は玄米、お味噌汁には海藻類、ひじきやきんぴらなどの煮物、そして旬の野菜を使ったレシピがここに加わります。
お肉類はあまり使用しない点に加えて、卵や乳製品、またお砂糖なども使用せず野菜本来の甘味を活かした料理が並びます。このマクロビの主な食事ルールは、健康で長く生きるための食生活の知恵と言われています。
健康を維持するために必要なもの、不必要なものを区別し、体調が悪くなった場合にはその要因をしっかりと考えることが大切です。
マクロビの考え方では、アトピー性皮膚炎で悩む方もどんなものが原因で身体の炎症が起きているかと付き合い、一つ一つ食材を見極めていく。
そして、自分に合った食材と出会うことができ、自ずとアトピーの症状が出にくい体質になることがあるとされています。
マクロビの食材の選び方とは|身土不二(しんどふじ)
マクロビの食事をする上で、食材選びはとても重要なポイントと言えます。マクロビには「身土不二」という考えがあり、この言葉は、身土(身体と土地)が不二である(切っても切れない関係)という意味を表しています。
生まれた土地で育った食材というのは、人が健康に暮らしてく上で必要不可欠ということでしょう。
その季節ごとにできる食材もまた、身体にとってその季節に必要な栄養素が入っています。自然に身を任せて、その土地でその季節にできた食材を使った料理を頂くことが長く健康的に生きる基本とも言えます。
マクロビの食事法とは|一物全体・陰陽調和
身土不二に加えて、マクロビの食事法には「一物全体」と「陰陽調和」という考えがあります。
この一物全体というのは、一物は全体的に頂くことができるという考えになりますので、皮のついたものも中に入った種もありのままの状態全てを食すという意味になります。
陰陽調和というのは、「陰と陽」つまり「夏と冬」という言葉に当てはめることができ、夏には夏の旬の食材、冬には冬の旬の食材の役割があるからこそ、その時期にできた食材を使うと良いという考えです。
「陰」は冷たい食材を表すので、暑い夏の熱を持った身体を冷やす食材を摂取し、「陽」は、逆に身体を温めてくれる食材を意味しますので、冬はしっかり冬の食材で体の芯から温めてあげましょう。
基本は玄米菜食|動物性食品は控えめに
先ほどもご紹介した通り、マクロビの主食であるご飯は玄米で、お肉をあまり使わない菜食が主な食事になります。
玄米は白米に比べてビタミンB1や食物繊維が約10倍以上含まれていると言われており、その他にミネラルやタンパク質も豊富に含まれています。
栄養価が高い玄米からしっかり栄養を摂取し、動物性の食品は極力控えるようにしましょう。また植物と人を陰と陽に分けた時、植物は「陰」、人は「陽」と分けられます。
人以外の動物も同じく「陽」に分類されるため、陽は陽を摂取するよりも陰を摂取することでバランスが保たれる、ということもマクロビの一種の考えになるため、できるだけ陽に分類される肉類や乳製品を避けるべきとします。
特に、身体の抗体反応が出やすいアトピー性皮膚炎は、このバランスの崩れから抗体反応が出るのではないか、という考えのもとからマクロビの考えを取り入れて治療に励む方が増えてきています。
陰陽のバランスに気をつけた献立を
上記2つを踏まえるとマクロビの献立は、基本的に陰陽のバランスで立てられていることがわかるでしょう。季節の陰と陽、植物と人との陰と陽の関係から献立を立てることで健康的な食事が取れるとされています。
マクロビの食事法では「陰陽のバランスが取れた状態がベスト」とされています。
食材の陰陽バランスに偏りがありすぎると、身体のバランスが崩れるとされていることから、基本は人から見て陰の分類の食事が好ましいということになります。
また、この陰の中にも先ほどご紹介した季節の食材として、陰陽が分かれますので、食材の陰陽を見極めて、バランスの良い献立作りというのがマクロビの考えに沿った献立作りと言えるでしょう。
食生活のポイント|よく噛む・腹8分目など
マクロビの食事法には、献立やレシピ作りだけでなく、、日頃の食事の取り方にも気をつける必要があります。
マクロビの食べ方の3つのポイント
- 30回以上を目安にしっかりと噛む
- 腹8分目に食事量を抑える
- 湯茶(ゆちゃ)などの飲み物は極力控えめにする
1つ目のよく噛むというのは、ダイエットにも効果的です。よく噛んで食事をすることはお腹の満腹感にも繋がり、腹8分目に食事量を抑えることもできます。また、よく噛んで食べることで唾液や酵素、ホルモンの分泌、スムーズな消化にも繋がると言われています。
3つ目の湯茶は、食事中に水分を取りすぎると胃液が薄まってしまうことから消化スピードの低下に引き起こしてしまいます。出来るだけ、食事中は胃液が薄まらないよう湯茶を必要としない味付けに抑えることがおすすめです。
マクロビを取り入れる上での注意点|栄養不足
健康のために身体のバランスを考えたマクロビの食事法ですが、頑張りすぎてしまうとかえって栄養不足に陥るケースも少なくありません。動物性の食品を断つということは、動物性タンパク質が不足してしまうことに繋がります。
特にタンパク質は、植物性タンパク質だけで補えるものではないので、身体を動かす方や成長期のお子様をお持ちの方は動物性タンパク質の摂取を怠らないことも大切です。
また、女性であれば生理が止まってしまうなどホルモンのバランスが崩れてしまうことも少なくありません。身体の不調を感じた時は、無理に続ける必要はありませんので、しっかりと身体の声に耳を傾けてあげるようにしましょう。
何事もやりすぎは決して良いものではありません。身体と相談しながらマクロビを取り入れていくと身も心も健康的に続けやすいのではないでしょうか。
不足しがちな栄養素を忘れずに取り入れよう!
マクロビは注意が必要ではありますが、決して悪いものではありません。しかし、絶対に肉類を口にしないなどというような続け方をしてしまうと体調の崩れに繋がり、動物からでしか取ることができない栄養素も存在することは頭に入れておきましょう。
無理なく続けるためにも必要最低限の栄養は、適度に摂取することが大切です。また、アトピー性皮膚炎でお悩みの方も身体に影響のないものは、適度に摂取しながらマクロビでの体質改善を行なっていくようにすることをおすすめします。
マクロビは日本で確立された食事法の1つ
マクロビの食事法は、陰陽のバランスが大切であることがよくわかったでしょう。このマクロビの食事法の考えに沿って、献立やレシピをお食事に取り入れることでアトピー性皮膚炎の改善に繋がる可能性があります。
あくまでも改善法の一つとなっていますので、必ず改善するものではありませんが、アトピーでお悩みの方は一度マクロビの食事法を取り入れてみてはいかがでしょうか?