イーストフードというものを知っていますか。イーストフードは、パンの発酵の際に、パン酵母(イースト)のために必要なもので、食品添加物の一種として扱われるものです。イーストフードが、どういう食品添加物なのか、その使用目的と働きを紹介します。
イーストフードとは食品添加物の一種!
イーストフードの安全についても、知ることができる記事です。添加物と言うと体に悪いイメージですが、実際にどうなのかについて詳しく見ていきましょう。
1種類だけじゃない! イーストフードと表示されている添加物とは?
イーストフードですが、発酵のために、酵母の栄養源となり、働きを助けるものです。その働きのために、食品に添加されるため、食品添加物として扱われています。
イーストフードは、1つではなく、18種類の物質のことを指します。
塩化アンモニウム、グルコン酸カリウム、酸化カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素マグネシウム、塩化マグネシウムなどとなっています。
ほとんどの物質が合成添加物で、これらを総称してイーストフードと呼びます。これらは、パン酵母のための栄養となることから、「イーストフード」という名前が付けられています。原材料に「イーストフード」と書かれていた場合には、これらの物質が入っていると考えるといいでしょう。少なくとも2種類以上、通常では数種類の物質が入っています。
ベーキングパウダーなども、パンやお菓子作りなどでよく使われますが、これらの中にも、イーストフードの物質が入っています。
イーストフードは何に使うの? どんな働きがあるの?
イーストフードは、何に、なぜ使われるのかについて考えていきたいと思います。またその働きについても詳しく紹介します。
イーストフードは、パンの発酵を助けるために使われている添加物です。パン酵母(イースト)は、生きていますので、その活動を活発にさせるための栄養素として、イーストフードが用いられています。18の物質が様々な働きをし、パン酵母の活性化を促進しています。
具体的な働きについては、主に3つの働きがあり、一つずつ、詳しく見ていくことにします。
パン酵母の栄養源として発酵を助ける
イーストフードは、パン酵母の栄養源です。パン酵母が安定した働きをするには、栄養源として、イーストフードが必要です。イーストフードは、成分的には、ミネラルや塩類となっていて、パンが発酵して膨らむために必要で、発酵菌の働きに大切なものです。
塩化アンモニウム 硫酸アンモニウムの窒素源が、特に発酵を助けてくれると言われています。
カルシウムの栄養強化・マグネシウムやカリウムの補強
また、ミネラル成分のイーストフードを、パンに加えることで、カルシウムやマグネシウム、カリウムを栄養的に補強することができます。パンの栄養補強としても、使われることがあるイーストフードです。
パンは、主食として食べられることが多くありますが、パンの中に、ミネラル分のカルシウムやマグネシウム、カリウムなどがあると、栄養バランスが良くなるでしょう。炭水化物やたんぱく質だけに偏ることなくなります。
お米と比べても、パンを食べる方が、カルシウムや鉄分などを摂取しやすくなっています。パンを主食にしている人にとっても、栄養補強として、イーストフードが入っていることで、嬉しい面もあるでしょう。
また、パン作りをする場合も、少し硬水の方が向いているため、ミネラル分をイーストフードで補うことも行われています。日本の軟水では、パン作りの際に、ミネラル分を補給し、パン生地を引き締める働きをしている、イーストフードです。
生地を改良して商品の見た目を良くする
イーストフードを加えることは、パン生地を食べた時の美味しさや見た目にも影響していると言われます。イーストフードを入れることで、酸化剤、L-アスコルビン酸(ビタミンC)などが、パン生地を引き締め、弾力性のある生地を作っています。パン作りは、膨らまないと悩むことも多く、難しいものです。イーストフードを使うことで、焼いた時に、パンが窯伸びして、よく膨らんだパンが作れます。
良く膨らむことで食べていても美味しく、ボリュームのあるパンになるでしょう。イーストフードを使うことで、使わないパンよりも、窯伸びして膨らみ、見た目もいい美味しいパンになっています。
イーストフードは安全なの?
イーストフードは、食品添加剤となりますので、安全かどうかが気になるでしょう。特に最近では、イーストフードを使わずに、食品添加物無添加などをうたう商品も増えています。では、イーストフードの安全性について見ていきます。
イーストフードは、厚生労働省によって認可されている食品添加物で適量であれば安全です。これまで紹介してきましたようにイーストフードが使われることで、パン酵母の働きを促進するパン作りに必要なものです。しかし、毎日食べることも多い食品のために、どの位摂取していいのかも知っておきましょう。
使い方や使用量を超えない限りは安全!
食品は、どんなものでも多く食べ過ぎると、有害な物質になってしまうとよく言われます。イーストフードの中の塩化アンモニウムやリン酸塩類なども取りすぎると、嘔吐や病気を招くこともあります。
また、食品添加物無添加、イーストフード無添加とうたっているパンなども、それに代わるものが加えられていますので、適量を守ることが、最も安全です。
イーストフードは、使用量の規定が厚生労働省で、きちんと決められている食品添加物です。使う量が決められ、安全性が保たれています。適量使うことによって、パンの発酵を助け、よく膨らんだ弾力性のあるパンが作れます。
ただ、少し注意しなければいけない点も覚えておくといいでしょう。イーストフードとして一括表示されるため、何がどの位入っているのかがわかりません。18の物質の中で、何が多く入っているのかは、わかりにくくなっています。もし、あまり取りたくない物質があったとしても、ひとくくりでイーストフードとして表示されます。
しかし、何万から何十万個のパンを毎日食べ続けなければ、体への影響も少ない食品添加物の量です。使用する際も適量にし、食べる時にも適量を食べる分には安全と言えるでしょう。
イーストフードはパン酵母の栄養源として使われる原材料の一つ!
イーストフードの使用目的と働きについて見てきましたが、イーストフードは、パン酵母の栄養源として、大切な物質です。食品添加物という表示となっていますが、パン作りにおいては必要な物質で、原材料の一つとしても、捉えられるものでしょう。
厚生労働省によって使用基準などが定められていますので、作る過程で適量が守られ、食べる側も適量を食べるのであれば、問題ないものです。
イーストフードが不使用と書かれたパンもありますが、代わりに何が入っているのかが明記されていないことが不安な時もあります。しっかりと検討した上で、選ぶようにすることも大切なことです。