天然由来成分で作られたオーガニック洗剤は人にも自然にも優しい洗剤です。ただ、日本ではオーガニック洗剤の基準が曖昧なため、本当のオーガニック洗剤でないものも「オーガニック」と表記されていることがあります。
そこで今回は、オーガニック洗剤と一般的な洗剤との違いや、実際にオーガニック洗剤を使用したときのメリット、デメリットについてご紹介します。
オーガニックの洗剤は普通の商品とどこが違うの?
皆さんは洗剤をどこで購入していますか?「スーパーやドラックストアで買う」という人が多いかもしれませんね。一般的に市販されている合成洗剤は、石油系のものがほとんどですが、最近ではオーガニック洗剤を使用する人も増えています。
ここではオーガニック洗剤の定義や、普通の洗剤との違いについてお伝えします。
オーガニック洗剤|日本での明確な定義はなし
健康や環境問題に関心のある人たちから支持されるオーガニック洗剤。最近では店頭でも「オーガニック」と表示された洗剤を見ることがありますね。
しかし日本にはオーガニック洗剤についての明確な定義がないため基準があいまいで、中には本当の意味でのオーガニック洗剤ではないものも販売されています。
日本で明確に「オーガニック」が定義されているのは「有機JAS基準」のみです。これは農産物と農産物加工品に対してのみ農林水産省が認めた機関が認証するもので、食べるものに対しての認証制度です。
つまり、日本では食品に対して厳格な「オーガニック」の基準は設けられていますが、そのほかに関してはメーカー任せになっています。
そのため洗剤を製造するメーカーの中には、石油由来の化合物を多く使用しているのに、天然由来の成分を一部含んでいるだけで「オーガニック洗剤」と表示しているものもあるのです。
本来、オーガニック洗剤とは成分のほとんどが天然由来の成分でできています。石油由来成分は使用しないか、あるいはごく少量のみ使用しているものがほとんどで、天然由来であるため肌に優しいだけでなく、洗濯による環境への負荷も減らせることが特徴です。
海外には、ヨーロッパやオーストラリアを中心に厳格な基準を持つオーガニック製品の認定機関があります。例えば、フランス発の国際オーガニック製品認定機関「エコサート」、非営利団体が厳格に認証する「NCS」、イタリアで最も重要なオーガニック認証機関「ICEA」などが有名です。
オーガニック認定機関に認められた洗剤であれば、安心して利用できますよ。
普通の洗剤との違いとは?|ナチュラルな成分を多く使用
スーパーやドラックストアなどで手軽に入手できる洗剤には、合成洗剤と石けんベースの洗剤があります。このうち一般的なのが合成洗剤で、そのほとんどが石油系合成洗剤です。
石油系の合成洗剤の主な洗浄成分は合成界面活性剤です。洗浄力が高いため洗濯物をきれいに洗い上げることができますが、合成界面活性剤は肌トラブルや環境汚染を引き起こしやすい物質の一つとしても知られています。
一方で、合成洗剤でもナチュラルな成分を多く使用するものがオーガニック洗剤です。天然由来の洗浄成分、天然界面活性剤が含まれており、合成界面活性剤より剤洗浄力は劣りますが、肌への刺激や環境への負荷が少ないことが特徴です。
オーガニックの洗剤を選ぶメリット・デメリットとは
主に天然由来成分から作られたオーガニック洗剤。利用することで得られる主なメリットは、人にも環境にも優しいことです。
もちろんメリットだけではなく、オーガニックだからこそのデメリットも存在します。知っておきたいメリットとデメリットをご紹介します。
オーガニックの洗剤を使うメリット
まずはオーガニックの洗剤を使うメリットを二つご紹介します。
1. 安全性が高め|ベビー服の洗濯にもおすすめ
オーガニック洗剤の特徴の一つが安全性の高さです。主成分が天然由来であるため、もし洗濯した衣類に成分が残留しても肌に余計な刺激を与えにくく、敏感肌の人や、デリケートな肌の赤ちゃんの衣類に安心して使うことができます。
また水に素早く溶けやすいという性質を持つため、衣類に洗剤が残りにくいことも特徴です。頻繁に使うものだから、扱いやすいのは嬉しいですね。
一方、一般的な石油系の合成洗剤に含まれる合成界面活性剤の中には、皮膚疾患やアレルギーなどの症状を引き起こすものが多くあると指摘されています。
また衣類を真っ白に見せる成分「蛍光増白剤」にも皮膚疾患などの恐れがあり、経済産業省は「乳幼児用製品への使用はできるだけ避けること」と通達を出しています。
オーガニック洗剤にはこうした危険な成分が入っていないため、安心して衣類を洗うことができますね。
2. 地球環境の保全に貢献できる
石油系の合成洗剤を使った洗濯が、水質汚染の原因の一つとして問題視されています。
なぜなら合成界面活性剤を洗浄成分としている合成洗剤は、自然に放たれたときに微生物による分解(生分解)に時間がかかり、自然の循環サイクルに戻るスピードが遅いためです。
水が汚染されればそこで暮らす魚たちにも少なからず影響を及ぼすため、いずれは私たちの食料や健康問題にも関わってくるのです。
オーガニック洗剤の多くは自然に放たれた時点で素早く微生物により生分解され、自然の循環サイクルに戻りやすいという特徴を持っています。そのため水を汚染しにくく、環境に優しいのです。
さらにオーガニック洗剤が優しいのは水質環境だけではありません。オーガニック洗剤の原料の多くは農薬や化学肥料を使用せず作られています。土が汚染されない事も、地球環境を守るうえで重要なことです。
オーガニックの洗剤を使うデメリット
オーガニック洗剤にはデメリットも存在します。ご紹介するデメリットをしっかり把握したうえで、上手に利用しましょう。
1. コストがかかる
オーガニック洗剤の主な原材料は自然の力を生かして栽培されるため、農薬や化学肥料などを用いた方法に比べて手間暇がかかります。また多くの場合、洗剤の製造方法において環境負荷をかけないなどのこだわりを持つため、販売価格は高額になりがちです。
一方、一般的に市販されている石油系の合成洗剤は、コストを安く抑えるために大量生産するなどの工夫がされています。
コストだけで比較すると、どうしてもオーガニック洗剤を割高に感じてしまいがちです。
洗剤は毎日使用するものだからこそ、コストがかかるのはデメリットと考えられますね。
2. 汚れ落ちがイマイチなこともある
天然合成活性剤は人の肌や環境に優しい成分である反面、強力な洗浄力を持つ合成界面活性剤に比べて洗浄力は落ちます。
ひどい汚れに対してオーガニック洗剤を使用すると「汚れ落ちがイマイチだな」と感じてしまうこともあるようです。
また汚れ落ちだけでなく、衣類の白さにも差が出ることが多くあります。市販の合成洗剤は蛍光増白剤や漂白剤などを含むものがほとんどで、こうした成分の働きにより白い服をより白く洗い上げることができるのです。
汚れをきれいに落とすことを重点に置く人は、衣類の洗い上りに満足できないかもしれませんね。
赤ちゃんのいるお宅にも人気! オーガニック洗剤を取り入れてみよう
オーガニック洗剤は、主に天然成分を原料にして作られた洗剤です。一般的な市販の合成洗剤よりも洗浄力が落ちるなどのデメリットはありますが、人や環境に優しいため安心して使用することができます。
ただし、日本にはオーガニック洗剤の明確な基準がないため、成分のほんの一部にオーガニック製品が使われているだけでも「オーガニック」と表記されることがあるので注意が必要です。
明確な定義に沿って作られたオーガニック洗剤は、海外の認証機関が認めたものを目安に選んでください。厳格な基準をクリアしたものばかりなので、安心して使用できますよ。
安心で安全な洗濯とエコ活動への協力に興味を持ったら、ぜひオーガニック洗剤を使った洗濯を生活に取り入れてみてくださいね。