老若男女問わず大人気の食材さつまいも。ふかしても調理しても美味しいさつまいもは、干し芋にすると食感も変わって、また別の味わいがあります。
干し芋の文化が日本で始まったのは19世紀の終わりごろ。それから100年余、現在でも発祥の地である、静岡県や茨城県で干し芋が生産されています。干し芋は冬の味覚として、その甘さがことのほか愛されています。
今回は、干し芋の栄養やカロリーについて詳しくみていきましょう。
干し芋にはどんな栄養があるの?
健康的なおやつの王道として愛されるさつまいも。
そのさつまいもを乾燥させて作られる干し芋は、当然ながら健康的な食材というイメージがあります。健康食材やスーパーフードという言葉をよく耳にする昨今、そうしたすべての食材が進んで摂取したいほど美味しいものばかりとはかぎりません。
俗に「いも・たこ・なんきん」と呼ばれるほど、もともと女性には人気の甘いさつまいも。乾燥してさらに甘みが増した干し芋は、子どもから高齢者まで喜んで食べる美味しいおやつになります。
それでは、その干し芋の栄養について具体的にみていきましょう。
食物繊維
他の芋類と比較しても、さつまいもには多量の食物繊維が含まれています。さつまいも100gあたりの食物繊維の量は、3gほど。
さつまいもを天日干しした場合、つまり干し芋になるとその量はおよそ倍の5.9gになることがわかっています。さつまいもに含まれる食物繊維は、コレステロール値を低下させたり、大腸の動きを促進する働きがあるのです。
よく、便秘をしているときはさつまいもを食べましょうといわれますが、干し芋はさつまいも以上の効力を発揮してくれるわけです。
ビタミン類
干し芋には、ビタミンやミネラルが豊富に含まれていることもよく知られています。ビタミンに関していえば、ビタミンB、C、Eの量が顕著。
特筆すべきはまずビタミンBで、干し芋に含まれるビタミンB1は柑橘類の2倍とも。ちなみに、ビタミンB1は疲労回復に効果がある栄養価です。また、ビタミンB2は脂質の燃焼に不可欠の成分を含んでいます。
果物にたくさん含まれていそうなビタミンCは、干し芋100g当たり9mg。ビタミンCは、コラーゲンの合成に重要な要素となるため、女性には特に気になる栄養素といえます。
強い抗酸化作用があるため老化を防ぐ働きがあるビタミンE。干し芋100gあたりのビタミンE含有量は、1.3g。つまり、干し芋を1袋分150g食べると、1日に必要なビタミンEの量のうち24%が摂取できる計算になります。
カリウム
干し芋はむくみの改善にも有効といわれますが、その理由がカリウムです。カリウムは体内の塩分を外に排出してくれるありがたい成分。体内に塩分が蓄積すると高血圧になってしまうため、干し芋は成人病予防の一助にもなるというわけです。
カリウムはそのほかにも、心臓機能の低下を抑えたり腸閉塞を予防してくれる働きも。
干し芋100gには、カリウムが980㎎も含まれています。1袋分150gの干し芋を食べることで、1日の理想摂取量の92%をカバーできるのです。
鉄分
女性に多い貧血症状。干し芋は、貧血気味の女性の守護神となる可能性もあります。
というのも、干し芋100gに含まれる鉄分は2.1gにもなります。成人女性が摂取すべき1日の鉄分理想摂取量は、体調にもよりますが7~10mgとされています。そのため、干し芋を食べることでかなりの量を供給できます。
さつまいもだから糖質たっぷり? 干し芋のカロリーとは
栄養素だけ見ていると、まさに完全食材といった感がある干し芋。
しかし、もちろんデメリットもあるのです。
そのひとつが、カロリーや糖質の高さです。干し芋100gあたりのカロリーは、303kcal。一般的に、おやつは200kcal以下で抑えるのが理想的とされていますので、やはり少し高めになります。
糖分はどうでしょうか。さつまいも100g当たりの糖分はおよそ30g、干し芋になると約2倍の65gにまで上昇します。
ダイエットや糖質制限がある人は、注意が必要といえるでしょう。
自分でも作れる! おすすめの干し芋づくりの方法を紹介
無添加の健康食材である干し芋。
冬の味覚として、年末年始の家族での団欒に登場することが多い干し芋。とはいえ、年中安価で入手できるさつまいもですから、ぜひ自宅で干し芋を作ってみたいという方も多いでしょう。
干し芋は、さつまいもだけあれば気軽に作ることができます。かびやすい干し芋も、自宅で食べる分だけ作ればその危険も回避!
干し芋を作る際に使用するさつまいもは、紅あずまや安納芋などネットリ系をぜひ。
それでは、レシピをみていきましょう。
kurashiru|オーブンで簡単 干し芋の作り方
まず、思い立ったが吉日で作ることができるオーブンを使用した干し芋レシピです。干し芋にすることで凝縮する甘さを堪能するために、使用するのは昨今話題のネットリ系さつまいもの雄「安納芋」。
まず、さつまいもは丸ごと蒸し器などでふかします。40分ほど蒸して竹串が通るくらいになったら、皮をむいてさつまいもを7mmくらいの厚さにカット。クッキングシートを乗せた天板に、重ならないようにさつまいもを並べてください。
100℃で1時間加熱、裏返してさらに1時間加熱すると、ネットリと甘い干し芋が完成します。
Nadia|しっとりねっとり甘〜い♡ 干し芋
せっかく干し芋を作るのならば、本来のレシピに忠実に、太陽のエネルギーもその中に込めたいもの。そこでご紹介するのが、オーブンと天日干しを活用する作り方です。
少しばかり時間はかかりますが、自然のパワーは侮るべからず。より甘みの強い干し芋になります。
作り方を見てみましょう。お天気が良い日に作ってみてください。
まず、さつまいもを丸ごと濡らして、キッチンペーパー、アルミホイルの順で包みます。このさつまいもを、250℃のオーブンで1時間ほど加熱。
火が通ったさつまいもの皮を除去し、適当な大きさに切ります。それを、干し網などにくっつかないように乗せて、陽光で干してみてください。
2日ほど天日干しをし、好みの固さになったら出来上がありです。
macaroni|炊飯器で簡単! 干し芋の作り方
オーブンを普段使わないという方は、炊飯器でも干し芋づくりは可能です。
中くらいの大きさのさつまいもを、3本ほど用意しましょう。
さつまいもをよく洗い炊飯期の窯に入れ、3合目くらいまで水をいれてください。より時間はかかりますが、普通の白飯よりも玄米を炊くコースがおすすめ。炊きあがったら、竹串で火が通っているか確かめ、かたい場合にはもう5分加熱します。
熱いうちに皮を除去し、食べやすい大きさと厚さにさつまいもをカット。網やネットに入れて、天日干しをすればOKです。
参考:意外と簡単♪自家製「干し芋」の作り方&オーブンで干す方法も必見!
干し芋は食物繊維などの栄養素がたっぷりの食品! 自分でもチャレンジしてみて
ほっこりと甘い干し芋は、万人向けの美味。その上、栄養面でもメリットが多くビタミンやミネラル、食物繊維や鉄分など、美容に敏感な人にも嬉しい要素が詰まっています。
スーパーでももちろん買うことはできますが、自分の好みのさつまいもの品種を使用し、自宅で作る干し芋はまた格別の味。
オーブンや炊飯器を活用して気軽に作ることができる干し芋、ぜひあなたも試してみてください!