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オリーブオイルを囲う葉っぱ

植物油脂とは? どんな種類があるの? トランス脂肪酸も植物油脂の仲間なの?

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2020.03.18

植物油脂は多くの食品のパッケージ表示に見られますが、植物油脂の種類や特徴については詳しく知らない人もいるのではないでしょうか。

「植物油脂は植物性の油? ごま油やなたね油のこと?」

「植物油脂はマーガリンのことでしょ? 体に悪いんじゃ……」

植物という言葉のイメージで「体にいい」と思う人もいれば、トランス脂肪酸と混同されることもあり安全性に疑問を持つ人もいます。ずばり植物油脂は植物生まれの油脂です。毎日の食事でおなじみの油もたくさんあります。

ただ、マーガリンなど植物由来であるものの、トランス脂肪酸を含む加工油脂も存在することから、「体に悪そう……」とネガティブなイメージをもたれる場合もあるのです。そこで本記事では、植物油脂への理解を深めるため、

  • 植物油脂の種類と特徴
  • 食用植物油脂の安全性
  • トランス脂肪酸の種類と特徴

について詳しく解説します。さらに、安心して植物油脂を食すため、JAS法が適用される食用植物油脂も一覧で紹介。

本記事を最後まで読んでいただければ、植物油脂の見分け方がわかるだけでなく、トランス脂肪酸との違いも見極められるはずです。これからの健康な食生活のためにお役立てくださいね。

植物油脂とは植物から採取される油脂のこと!

オリーブオイルを注ぐところ

植物の実や種子から採取される油脂を総じて植物油脂といいます。植物油脂には食用だけでなく、ろうそくや石けん、塗料など幅広い用途があるのも特徴です。ここでは、植物油脂の種類について詳しく解説していきます。

植物油脂にはどんな種類があるの?

植物油脂には大きく分けて2つの種類がありますが、2つを分けるポイントは「形状」です。それぞれ具体的な種類を挙げながら紹介します。

植物油の原料|常温で液体のもの

常温で液体のものが植物油です。よく知られている植物油の一例を挙げましょう。

  • ごま油
  • なたね油
  • コーン油
  • 大豆油
  • 米油
  • オリーブオイル
  • サフラワー油

ごま油やオリーブオイルのようにそのまま食すものもあれば、なたね油やコーン油のように調理に使うものもありますし、椿油のように化粧品などに利用されるものもあります。

植物脂の原料|常温で固体のもの

植物油に対して、常温で固体のものが植物脂です。どのような種類があるか一例を示しましょう。

  • ヤシ油
  • パーム油
  • カカオ脂
  • 木蝋 (もくろう)

ヤシ油やパーム油、カカオ脂は食品から洗剤などの日用品にまで広く利用されています。また、木蝋はハゼノキという植物から抽出され、ろうそくやワックス剤として使用される植物脂です。

食用植物油脂の日本農林規格とは?|植物油脂とJAS制度

植物油脂には食用から工業用まで混在するため、食の安心への基準としてJAS法が適用されてきました。JASとは「Japan Agricultural Standard」の頭文字を取ったもので、日本農林規格のことです。

ただ、平成27年に施行された食品表示法により、JAS法を食品衛生法とともに一元化。JAS法は食品表示法の中で「農林物資の規格化に関する法律」として、現在でも運用されています。

では、JAS法の適用によって食用植物油脂が安心であると示される根拠はなんでしょうか。具体的に見ていきましょう。

  • 植物の種子などを原料とした食品添加物を使用しないピュアな油脂である。
  • 等級、油種、油脂の品質といった3項目で規格を構成している。
  • 名称や原材料名など法で義務付けらた表示事項をラベリングしている。
  • 法律にもとづく厳格な審査に合格した認定工場で製造されている。
  • 認定工場では必要な資格を有する担当者のもとで管理されている。
  • 国の登録認定機関が製造から品質管理までを定期的にチェックしている。

以上は極めて簡潔にまとめたものですが、食用植物油脂の安全性がわかるだけでなく、購入時の安心感にもつながることでしょう。

◆JAS法が適用される食用植物油脂一覧

食用サフラワー油
食用ぶどう油
食用大豆油
食用ひまわり油
食用とうもろこし油
食用綿実油
食用ごま油
食用なたね油
食用こめ油
食用落花生油
食用オリーブ油
食用パーム油
食用パームオレイン
食用パームステアリン
食用パーム核油
食用やし油
食用調合油 ※2種以上の食用植物油脂をブレンドしたもの
香味食用油 ※ラー油のような食用植物油脂に香料や香辛料、調味料などを加えたもの

出典:食用植物油脂の日本農林規格|農林水産省

トランス脂肪酸も植物油脂の仲間なの?

バターをパンに塗る

植物油脂をトランス脂肪酸の仲間だと認識し、「体に悪い油」と考える人もいます。では、実際どうなのでしょうか? ここでは、トランス脂肪酸とは何なのか、植物油脂との関係はどうなっているのかについて解説します。

トランス脂肪酸とは不飽和脂肪酸の一種

脂肪酸には不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の2つがあり、トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種です。それぞれの特徴を簡単に紹介しましょう。

◆不飽和脂肪酸

  • 植物性の油に多い
  • 常温で液体をしている
  • 炭素の二重結合がある

◆飽和脂肪酸

  • 動物性の油に多い
  • 多くが常温では固体である
  • 炭素の二重結合がない

特徴だけを見ると、トランス脂肪酸が不飽和脂肪酸だからといって「体に悪い」と定義づけられるものではないとわかります。実は、トランス脂肪酸には天然に出来たものと加工や精製によってできるものがあるのです。

天然のトランス脂肪酸|牛肉や牛乳など

牛や羊などの動物の体内で作られるのが天然のトランス脂肪酸です。したがって牛乳や牛肉にもトランス脂肪酸が含まれてはいます。このように天然のトランス脂肪酸は、自然に出来ているものなので「バターは体にいい油」とイメージされる理由につながっています。

加工や精製でできるトランス脂肪酸|ショートニング・マーガリンなど

一方、植物油脂に水素を添加して加工・精製されたものが、ショートニングやマーガリンなどの加工油脂です。もしかすると、「バターにもトランス脂肪酸は含まれているのに、なぜショートニングやマーガリンにはマイナスイメージがあるのだろう?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。

バターに比べると、トランス脂肪酸の含量が約3~4倍と多いのも根拠のひとつでしょう。また、加工されているという点も影響していると考えられます。 ※注1

では、そもそもトランス脂肪酸が「体に悪い」とされる理由はなんでしょうか。ひとつには、WHOの報告書で「トランス脂肪酸の働きによりHDLコレステロール(善玉)が減少し、LDLコレステロール(悪玉)が増加する。よってトランス脂肪酸を摂取しすぎると動脈硬化を招き、虚血性心疾患になる可能性を高める」と発表されたことが挙げられます。

さらに報告書を受け、欧米ではトランス脂肪酸を規制する動きが活発になったことで、日本でも「トランス脂肪酸は体に悪い」という認識が広まりました。現状として日本では欧米のような規制を行っていませんが、世界保健機関(WHO)の勧告である「1日当りのトランス脂肪酸摂取量を総摂取エネルギー量の1%未満にすること」を目安に、食品メーカーなどは対象となる食品の「1食当りのトランス脂肪酸含量」を減らすよう努めています。

※注1食品に含まれるトランス脂肪酸の評価基礎資料調査報告書(内閣府食品安全委員会)

植物油脂とは植物から採取される油脂のこと

オリーブオイルと3つの小瓶

ここまで本記事では、植物油脂について種類や特徴を示しながら、食用としての安全性にも触れてきました。最後までお読みいただき、以前よりも植物油脂への理解が深まったのではないでしょうか。

ここで簡単に内容をまとめておきましょう。

  • 植物油脂とは植物から採取される油脂全体をさす
  • 植物油脂には植物油と植物油がある
  • トランス脂肪酸には天然型と加工型がある
  • 加工型のトランス脂肪酸も規定量未満であれば問題なく摂取できる

食への安心を気遣っていると、人づての情報やイメージだけで「体にいい」「体に悪い」と判断してしまうことがあります。毎日の大切なテーマだからこそ、正しい理解で毎日の食事をおいしく健やかにさせたいものですね。

参考:
トランス脂肪酸の摂取と健康への影響(農林水産省)
食品に含まれるトランス脂肪酸の由来(農林水産省)
 植物油とJAS制度(日本植物油協会)

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