ヴィーガンの食事とはどのような内容なのか、なんとなくイメージはできていても、詳しく知らない方も多いでしょう。実際、一言で「ヴィーガン食」といっても、いろいろなルールがあるのです。
今回は、ヴィーガンにおける食事のルールを学ぶとともに、ヴィーガン食を家庭で作る方法や、おすすめのレシピ本もあわせて紹介します。
食べていいものは何？ ヴィーガン生活を支える食事ルールとは
ヴィーガンを基礎から学びたい、また、すでに実践しているけど今さら聞けないことがある、そんな方のお役に立てば幸いです。
ヴィーガンの定義｜ベジタリアンとの違いとは？
そもそも「ヴィーガン」というのは、動物の命を大切にすることを重んじたライフスタイルのことです。つまり、殺生が禁じられています。そのため、魚・肉・卵・乳製品など動物に由来する食べ物は基本的に口にしません。
栄養面でも、菜食が健康に適しているという考え方から、ヴィーガン食が病気の治療の一環として取り入れられる場合があります。
では、ヴィーガンは「ベジタリアン」とはどう違うのでしょうか。実は、ヴィーガンはベジタリアンの一種。ベジタリアンにも種類があり、「ピュア・ベジタリアン（純粋菜食主義者）」というものがヴィーガンに該当します。
ヴィーガンにも種類がある｜食べていいものに違いはあるの？
「ヴィーガン」イコール「ピュア・ベジタリアン」だということはわかりましたが、実は、ヴィーガンの中でもいくつかのタイプに分けられます。それぞれ口にしていいものにも違いがあるので、詳しく見ていきましょう。
1. エシカル・ヴィーガン｜完全菜食＋動物由来商品を避ける
「エシカル（ethical）」とは、「道徳的な」「倫理的な」という意味を持つ単語です。エシカル・ヴィーガンは動物愛護を重視した考え方に基づいており、動物に関係するものは、食べることも身に着けることも使うことも避けます。
動物性を避けて植物性のものを食べるというだけでなく、動物の毛皮などを使った衣類や小物も身に着けないのです。化粧品や日用雑貨なども、動物由来のものは使用しません。
もっとも徹底したヴィーガンのタイプと言えるでしょう。
2. ダイエタリー・ヴィーガン｜食事のみ完全菜食
ダイエタリー・ヴィーガンとは、食事の面でのみ動物性のものを避けるタイプです。動物の命を重視するというよりは、「肉は体に良くない」という健康上の考え方。
つまり、ファーコートやレザーの財布、バッグ、牛乳由来の石けんなどは必ずしも避ける必要はなく、使用してもOKです。日本で多く見られるヴィーガンのタイプと言われています。
3. ロー・ヴィーガン｜調理温度は46度以下
ロー・ヴィーガンは、食材に関しては、エシカル・ヴィーガンやダイエタリー・ヴィーガンと同様に動物由来のものを避けるというタイプ。しかし、ロー・ヴィーガンの場合は調理方法にもポイントがあり、基本的に生のものを口にします。
ロー（raw）とは「生の」という意味で、食材が持つ酵素やビタミンなどの栄養素を破壊しないよう、生もしくは46度以下ぐらいの低温で調理したものを食べるのです。高い温度での加熱を避け、食材が持つ栄養素を大切に体に取り込みます。
4. ホールフード・ベジタリアン｜無精製の植物性食品中心
ホールフードとは、食材をそのままの状態で摂ること。ホールフード・ベジタリアンは、具体的には、調理する際に全粒粉や玄米、精製していない砂糖などを使います。無精製の食材は栄養素がたっぷり詰まっているという考え方に基づき、自然の恵みを丸ごと頂くのです。
5. フルータリアン｜野菜でも食べられないものがある
フルータリアンは、動物だけでなく植物の命も重視する思想に基づき、たとえば野菜であっても、収穫することによってその命が断たれてしまう食材は口にしません。抜いたら生えてこない根菜類や、根ごと収穫してしまうねぎなどです。
つまり、フルータリアンが口にできるのは、収穫しても本体（茎や枝、根っこ）が生き残る葉物野菜や木の実、果実といった食材です。通常のヴィーガン以上に食べられるものが制限されるので、注意が必要でしょう。
ヴィーガン生活をより健康に！ おすすめヴィーガン料理レシピ本5選
あなたのヴィーガンのタイプに応じたメニューで、おいしい食卓を作りましょう。
『ヴィーガン和食』
ヴィーガン料理というと、洋風のイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ヴィーガンは和食にも適した食事方法。
野菜研究家が編み出した、動物性食品や砂糖を使用しないヴィーガン和食のレシピの数々は、野菜本来のうまみと甘みのハーモニーを楽しめるでしょう。わずか3ステップ以内で作れる手軽さも魅力です。
『無国籍ヴィーガン食堂「メウノータ」の 野菜がおいしい！ ベジつまみ』
東京・高円寺にある人気ヴィーガンレストラン「メウノータ」の店主がお届けする、ヴィーガンのおつまみ系レシピ本。ソース、パテ、チーズなどを植物性の食材で再現し、それらをベースにしたおつまみ料理を紹介しています。
簡単でおいしいおつまみの数々で、お酒が進むでしょう。お酒を飲まない方も、一品料理で食卓がにぎわいますよ。
無国籍ヴィーガン食堂「メウノータ」の 野菜がおいしい！ベジつまみ/伴奈美・著（河出書房新社）
『ヴィーガン・レシピ』
ヴィーガン料理を提供しているNYの高級フレンチレストランで腕を磨いた日本人シェフが、レストラン級のヴィーガンメニューを自宅で作れるレシピを公開。味はさることながら、華やかで見た目にも楽しめるヴィーガン料理が自宅の食卓を彩ってくれます。
中南米やイスラム圏などで使われる香辛料や、豆腐や麩などの日本らしい食材など、多国籍なヴィーガンレシピで飽きません。
『乳製品を使わないヴィーガンチーズ VEGAN CHEESE』
LAで活躍するヴィーガン料理研究家が紹介するのは、なんとヴィーガンのチーズレシピ。ナッツを使って作られる、クリームチーズやモッツァレラ、チェダーチーズなどが登場します。
さらに、ヴィーガンチーズを使ったアレンジレシピも掲載。タルトやチーズケーキといったスイーツも、驚きのヴィーガンレシピでおいしく頂くことができます。
乳製品を使わないヴィーガンチーズ VEGAN CHEESE/mariko・著（大和書房）
『世界最強・最新 ロー・ヴィーガン・スウィーツ』
スイーツといえば、ヴィーガンでは避けられる卵・バター・牛乳などを使うのが一般的。しかし、ヴィーガンでもおいしいスイーツを味わいたいという人たちの願望を叶える、夢のようなスイーツレシピがありました。
おやつにも、食後のデザートにも、甘いもの好きヴィーガンさんの心を満たしてくれる幸せなローフードレシピが満載です。
世界最強・最新 ロー・ヴィーガン・スウィーツ グルテンフリー＆パレオダイエット/田中さゆり・著（キラジェンヌ）
自分に合ったヴィーガン生活を始めよう！
その人その人の環境によって、実践できる範囲も違います。やりたい気持ちがあっても、すべてを完璧にこなすのは難しいでしょう。
肩ひじを張りすぎず、あなたにできる範囲のヴィーガン生活で、おいしいものを食べて健康に生活してくださいね。
