健康志向の人々の間で注目を集める、「マクロビオティック(マクロビ)」をご存知ですか?
マクロビは食べ物の選び方や食べ方などに着目して、健康的に長生きできるライフスタイルを提案しています。
今回この記事で注目するのは、「マクロビにおける牛乳の可否」についてです。一般的に栄養価の高い牛乳や乳製品を好んで摂取する人は多いですが、マクロビでは牛乳がどのように定義されているかを解説します。
また、マクロビの考え方の一つ、「陰陽調和(いんようちょうわ)」についてや、マクロビの学びを深めることができる資格取得情報もご紹介します。
マクロビオティックでは牛乳は飲んでもいいの?
この項目では、まずマクロビの思考について説明し、さらに牛乳についての考え方を解説します。
健康的に長生きすることを目指すマクロビ思考
マクロビオティックという名称から、欧米発祥と思われがちですが、この思考を確立したのは、昭和に活躍した日本の食養指導家・桜沢如一(さくらざわゆきかず)氏です。
彼は日本古来から伝わる「食養法」、東洋の知恵である「易」、そして現代科学を結びつけてこの思考を確立しました。
マクロビオティック<Macrobiotic>は造語で、三つの言葉から作り出されています。
- Macro…長い(大きい)
- bio…生命
- tec…術・学
つまり、「健康的に長生きすることを目指す方法」という意味が、マクロビオティックの名前に込められているのです。
オーガニックとマクロビは同じ?
最近では健康のため、オーガニック食品を活用する人も増えてきました。オーガニックは「有機の」という意味を持ち、一般的に有機農法産の農産物や加工品、また生産システムのことを意味します。
オーガニック食品を食べることで、安心で安全な食事ができるだけでなく、農薬や化学肥料を使用しない農法で作られるため、自然環境を守ることにもつながるのです。
マクロビでは、基本的にオーガニック食品を利用します。そのため共通点もありますが、マクロビは主に食べ方について様々な思考が説かれています。オーガニックとは違うものと考えてください。
牛乳や乳製品はおすすめされていない
現代栄養学では、牛乳や乳製品をタンパク質・カルシウム源として考えており、積極的な摂取をすすめています。
一方マクロビでは、人間は歯が生えたら噛んで食事をするのが自然だと考えます。歯が生えているのに、牛の赤ちゃんの飲み物を人間が栄養源として飲むのは、不自然な行為なのです。
そのため、牛乳の積極的な摂取はすすめられていません。嗜好品として楽しむ程度であれば問題ないので、上手に摂取するようにしましょう。
タンパク質やカルシウムは植物性のものを選ぼう
タンパク質やカルシウムは、植物性食品からでも十分摂取できます。代表的な食品が大豆・大豆製品で、これらは栄養価の高い植物性タンパク質を含む代表的な食品です。大豆製品には、以下のものがあります。
- 豆腐
- 納豆
- 生揚げ
- きなこ
- 凍り豆腐
- おから
- 煎り大豆
- 油揚げ など
そのほかに黒豆や枝豆も、豊富なたんぱく質を含んでいます。
また、大豆・大豆製品には、多くのカルシウムも含まれています。例えば、ヨーグルト1カップ(100ml)と木綿豆腐半丁(150g)に含まれるカルシウムは、およそ同量(約120mg)です。
そのほかカルシウムを含む食品には、ひじき、小松菜、青梗菜、切り干し大根などがあります。食卓に上手に取り入れて、タンパク質やカルシウムを摂取しましょう。
食材はどう選ぶ? マクロビの陰陽調和とは
ここでは食材の基本的な選び方や、マクロビの重要な考え方の一つ「陰陽調和(いんようちょうわ)」についてご紹介します。
マクロビ視点での食材・食品の選び方とは?
マクロビで使用する食品には、原則として以下のような基準があります。
- 農薬や化学肥料を使用せず育った農作物や、添加物などを使用せず作られた加工品など
- 穀菜食を中心として、動物性の食品は避ける(魚介類はOK)
- 国産のものを中心に食べるようにする
- 丸ごと食べることを原則とするため、米は玄米とする
マクロビの陰陽調和とは
マクロビの原理である「陰陽」の考え方は、東洋の伝統的な世界観をもとにしています。陰と陽は物事の両面で、例えば暑さ寒さ、男と女、昼と夜など、相反していながらもお互いに必要とする関係を表します。
陽性と陰性には、およそ次のような性質があります。
陽性とは
基本的に、求心性・収縮性・下降性といった性質があります。食べ物では以下の特徴があります
- 動物性
- 寒い場所で育つ
- 下に向かって育つ
- 成長がゆっくり
- 小ぶり
- 水分が少ない
- 苦みや塩辛さが強い
- 調理時間や熟成期間が長い
陰性とは
基本的に、遠心性・拡散性・上昇性といった性質があります。食べ物では以下の特徴があります。
- 植物性
- 温かい場所で育つ
- 上に向かって育つ
- 成長が早い
- 大きい
- 水分が多い
- 甘さ、辛さ、酸っぱさが強い
(穀類をよく噛んだときの優しい甘みは「中庸(ちゅうよう)」) - 調理時間や熟成期間が短い
陽性・中庸・陰性の食材を紹介|穀物・野菜・調味料など
マクロビの「食」では、陰陽の調和を大切にします。陰性、陽性の食品をバランスよく選び、中間の位置「中庸」になるように心がけます。
具体的な陽性・中庸・陰性の食材をご紹介します。
陽性の食材|サケ・梅干し・塩など
- 魚介類
サケ、ウニ、タイ、カレイ、鰹節 など - 調味料
醤油、味噌、塩 など - 植物性加工食品
たくあん、梅干し など
中庸の食材|玄米・小麦など
- 穀物や豆類
玄米、小麦、そば、小豆 など - 野菜
ゴボウ、ニンジン、玉ねぎ、切り干し大根、干ししいたけ など - 植物性加工品
油あげ、高野豆腐、天然酵母パン、うどん など - その他
黒ゴマ、ひじき、わかめ など
陰性の食材|たけのこ・ぶどう・黒砂糖など
- 野菜
たけのこ、じゃがいも、長ネギ、トマト、ナス、サツマイモ など - 果物
ぶどう、みかん、りんご など - 大豆製品
納豆、豆腐、豆乳 など - 調味料
黒砂糖、みりん、油、酢 など - 飲料
ジュース、コーヒー、煎茶、紅茶、水 など
本格的に学びたいなら|マクロビ資格取得を目指そう
マクロビを本格的に学びたいなら、資格取得を目指して勉強をしてみるのもよいですね。資格を取得すれば、学びを深めるだけでなく、キャリアにも活かせるかもしれませんよ。おすすめの資格と、資格取得のための講座をご紹介します。
IFCA|マクロビオティック検定(A級・S級)
「一般社団法人 IFCA(国際食学協会)」は、「マクロビオティック検定」のA級認定(入門課程)とS級認定(専門課程)の二つの資格の認定機関です。
S級認定はA級認定の合格後に受験できます。S級認定を取得後、さらに学びを深めることで、IFCAが認定する食学の専門家の称号である「準食学士」や「食学士」の資格取得に挑戦することもできます。
入門課程|マクロビオティックA級プログラム
A級認定を取得するためのプログラムです。主に、マクロビの基本的な考え方を学びます。毎月、理論と実践を通して、カリキュラムごとにレポートを提出します。
専門課程|マクロビオティックS級プログラム
S級認定を取得するためのプログラムです。より深いマクロビの学びを通し、年齢別、症状別などの各理論に対応した調理の実習を積み重ねていきます。
JADP|マクロビオティックセラピスト
「マクロビオティックセラピスト」は、「一般社団法人 JADP(日本能力開発推進協会)」が認定する、美容、健康に効果的なマクロビのスペシャリストを証明する資格です。
美容業界や飲食業界、また医療や福祉関係で働く人たちのプラスαの知識としても推奨されています。
マクロビオティックセラピスト資格取得講座
マクロビオティックスセラピストの資格取得を目指すための通信講座です。基礎知識から病気との関わり方、各食材がもたらす効能まで、総合的な専門知識と調理技術を習得することができます。
JAFA|マクロビオティックコンサルタント
「マクロビオティックコンサルタント」は、「一般社団法人・JAFA(日本能力教育促進協会)」が認定する資格です。具体的な実践方法や陰陽理論など、正しい知識を身につけたプロフェッショナルに与えられます。
資格取得後は、自宅で講座を開いたり、飲食店でメニューの監修をしたり、食育ライターとして活躍したりとさまざまです。
マクロビオティックコンサルタント資格講座
JAFAが指定する講座で、マクロビオティックコンサルタントの受験資格が得られます。マクロビの知識、具体的な実践方法、陰陽理論などについて正しく学べます。
講座では、食べ方だけでなく心の健康を大切にするマクロビの考え方も身につけられるので、ストレスから解放されて、穏やかな気持ちで生活を送れるようになりたい人にもおすすめです。
マクロビでは牛乳はおすすめされていない
健康長寿を目指すライフスタイルとして注目されるマクロビ。マクロビでは、牛乳や乳製品はおすすめされていません。積極的に摂取することは控えて、嗜好品として楽しみましょう。
牛乳を飲まなくても、食材の選び方次第でタンパク質やカルシウムは摂取できます。記事を参考に、少しずつほかの食品に切り替えてみるのもよいですね。
今回はマクロビの基本的な考え方を紹介しましたが、もっと知りたい人は資格取得のための勉強をするなどして、生活にマクロビスタイルを取り入れてみてください。
マクロビを知って、健康生活を目指しましょう。
参考:
マクロビオティックについて(正食協会)
【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~(農林水産省)
カルシウムを多く含む食品(骨粗鬆症財団)
日本食品標準成分表(文部科学省)
マクロビオティックとは(日本CI協会)
マクロビオティック(国際食学協会)