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果糖とは? どんなものに使われるの?|砂糖やぶどう糖との違いとは

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2020.04.10

加工食品やジュースなどの飲料水の多くは、甘味料が使われています。甘味料の成分には、果糖やぶどう糖など種類があります。果糖は、砂糖やぶどう糖とは異なる特徴をもっています。

この記事では果糖の特徴と、果糖は砂糖やぶどう糖とは何が違うのかご紹介していきます。

果糖(フルクトース)とは?

りんごの密

果糖は天然に存在する糖で、果物やはちみつなどに多く含まれています。強い甘味とコクがあり、冷やすと甘みが増します。「フルクトース」や「レブロース」とも呼ばれています。

果糖の糖質には、「単糖類」「二糖類」「多糖類」という3つの種類があります。果糖は単糖類です。単糖類は、糖の中で最も小さい単位であるため、それ以上分解されません。
そのため単糖類は、二糖類や多糖類と比べると早く吸収されて、体のエネルギーとなるのです。

果糖の甘味は、快感をもたらすドーパミンを放出させるといわれています。しかし、肝臓で中性脂肪などに変換されるため、過剰に摂取してしまうと肥満や脂質異常症につながる可能性があります。

WHOは、1日の糖類の摂取を総カロリーの5%未満(砂糖で約25g)に抑えるように勧めています。果糖が使われてる食品を知り、総カロリーの5%以上摂取しないように注意することが大切です。

どんなものに使われているの?|飲料や食品などの商品

果糖には、果物や野菜に含まれている果糖と、清涼飲料水や菓子などに使われている果糖(異性化糖)の2種類があります。

異性化糖とは、果糖とぶどう糖が主成分の液状糖で、「高フルクトース・コーンシロップ」とも呼ばれています。

ジュースやコーラなどの炭酸飲料、甘みの強い菓子などには、異性化糖の一種である「果糖ブドウ糖液糖」が使われています。異性化糖は他に、パンやヨーグルト、ジャムやケチャップなどにも使われています。

また、果糖は血糖値を上げにくいといわれており、果糖を多く含んだ健康食品も存在します。このように、果糖は異性化糖も含めると、さまざまな食品に含まれているのです。

同じように甘い砂糖やぶどう糖とはどこが違うの?

砂糖と水
果糖は糖の一種ですが、砂糖やぶどう糖とは甘さや吸収の早さに違いがあります。
ここでは、果糖は砂糖やぶどう糖とは何が違うのか、詳しくご紹介します。

砂糖とは?果糖の違いとは?

砂糖の主成分は、「ショ糖(スクロース)」と呼ばれる二糖類です。ショ糖は、果糖とブドウ糖が結合して結晶化したものです。

砂糖は味にクセがなく、さまざまな料理に使われています。砂糖は体内での分解や吸収が早いため、すぐにエネルギーになります。

一方果糖は、ショ糖の約1.5倍の甘さがあります。ショ糖は温度で甘さが変わることはありませんが、果糖は冷やすことで甘みが増します。果糖はショ糖よりも甘いですが、砂糖の甘味よりも口の中に残りにくいのです。

また、前項でもご紹介したように、単糖類は二糖類よりも吸収されるのが早いです。つまり、二糖類であるショ糖と比べると、単糖類の果糖の方が早く吸収されます。

異性化糖は、果糖とブドウ糖を主成分とするものであり、砂糖のように結合しているわけではありません。
異性化糖の甘味も温度によって変わります。高温の場合は、砂糖の約60%の甘味ですが、40℃以下になると砂糖よりも甘くなるのです。

価格は、砂糖よりも異性化糖の方が安いです。低温にすることで清涼感も増すため、冷菓にも使用されています。
ですが、異性化糖は固形ではなく液状糖であるため、スーパーなどで異性化糖のみを購入することは難しいのです。

ブドウ糖とは?果糖との違いとは?

ブドウ糖(グルコース)は、果糖と同じく単糖類の一つです。パンやご飯、果物やはちみつ、イモ類や麺類などに多く含まれています。ブドウ糖の甘味は砂糖の70%程度で、果糖ほど甘くはありません。

ブドウ糖は血液中にも含まれていて、全身にエネルギーを届けています。また、脳にとって重要なエネルギー源です。しかし、過剰に摂取すると、中性脂肪になって蓄積されてしまいます。

ブドウ糖と果糖はどちらも単糖類ですが、代謝経路や体への影響に違いがあります。
摂取したブドウ糖は、小腸から吸収されると血液の中に入ります。そして、体を動かすためのエネルギーとして利用されるのです。

一方、果糖は小腸で吸収された後、肝臓で代謝されます。そのため、果糖を摂取しても血糖値は上がりにくいといわれています。しかし、食べ過ぎてしまうと中性脂肪が増えてしまい、健康に悪影響を与えてしまうのです。

また、ブドウ糖を摂取すると、血糖値やインスリンが上昇し、グルカゴン様ペプチド1というホルモンの分泌が増えます。すると、このホルモンの作用によって、食欲を刺激の分泌が抑えられます。そのため、ブドウ糖を摂取すると満腹感を得やすくなるのです。

果糖の場合は、摂取してもグルカゴン様ペプチド1の分泌は増えないため、食欲を刺激するホルモンの分泌を抑えられません。ですので、果糖は満腹感が得られにくいのです。

果糖は体内のたんぱく質と結びつき、毒性をもつAGEs(終末糖化産物)をつくります。果糖のたんぱく質と結びつく力は、ブドウ糖の約100倍ともいわれています。

このように、果糖はブドウ糖よりも血糖値を上げにくいという長所がありますが、ブドウ糖よりも満腹感を得られにくく、たんぱく質と結びつきやすいという短所もあるのです。

果糖ぶどう糖液糖とぶどう糖果糖液糖はどこが違うの?

清涼飲料水や菓子には、果糖とブドウ糖が主成分の「異性化糖」が含まれている商品があります。

この異性化糖は液状糖で、果糖含有率によって「果糖ぶどう糖液糖」と、「ぶどう糖果糖液糖」に分けられます。日本農林規格(JAS)では、果糖含有率が50%以上は果糖ぶどう糖液糖、50%未満は果糖ぶどう糖液糖と制定されています。

果糖ぶどう糖液糖は、デンプンを酵素でぶどう糖に分解して、そのぶどう糖の一部を酵素で果糖にかえた糖です。一方ぶどう糖果糖液糖は、デンプンを加水分解することでつくられます。どちらもすっきりとした甘さがあります。

果糖を多く含む果糖ぶどう糖液糖は、温度が低いと甘さが増すため、コーラなど冷たい飲み物に使用されています。ぶどう糖果糖液糖は、果糖ぶどう糖液糖ほど甘くありません。こちらもスポーツドリンクなどの清涼飲料水や乳飲料に含まれています。

異性化糖には他に、果糖含有率が90%以上ある「高果糖液糖」や、異性化糖に10%以上の砂糖を加えた「砂糖混合異性化液糖」があります。

果糖とははちみつや果汁に含まれる糖類のひとつ!

オレンジジュース

果糖は単糖類の一種で、果物やはちみつに多く含まれています。摂取すると小腸で吸収された後、肝臓で代謝されます。

糖類の中では最も甘く、温度が低いとさらに甘みが増すのが特徴です。清涼飲料水や健康食品、冷菓などさまざまな食品に使われています。

砂糖は、この果糖とぶどう糖が結合したショ糖が主成分です。ぶどう糖は、果糖と同じ単糖類ですが、血糖値を上げやすいという特徴があります。

また、果糖とぶどう糖を主成分とした異性化糖も、さまざまな加工食品や清涼飲料水に使われています。しかし、糖尿病や肥満の原因になるといわれているのです。

このように、果糖などの糖類にはさまざまな種類があります。果糖は血糖値を上げにくいといわれていますが、摂取量が増えると肥満の原因になります。ですので、健康的な体を維持するためには、果糖を摂りすぎないように注意しましょう。

また、果糖を摂取するなら、異性化糖を含む加工食品ではなく、果物をおすすめします。果物なら果糖だけではなく、ビタミン類など健康に嬉しい成分を一緒に摂取できるのです。

参考:
世界保健機関(WHO)、ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」を発表(内閣府)

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